春の七草というと、お正月の終りの1月7日に、おかゆに七草を入れて食べるという習慣があります。
春の七草の和歌について、聞いたことがある方もいるでしょう。
そこまで、この七草の和歌については、“聞いたことはある“ 程度で、多少の知識程度しかもっていない方が多いのではないでしょうか。
春の七草は言えるけど、春の七草の和歌って、どんな歌なの?と考えてしまう方もいるでしょうね。
春の七草、順番通りに言えますか?
春の七草を順番通りにいえる方は、親やおじいちゃん、おばあちゃんに教えてもらったことがある方ではないでしょうか。
「芹、なずな、御形(ごぎょう・おぎょう)、はこべら、仏の座、すずな、すずしろ、これぞ七草」
これが、春の七草の順番を歌った、和歌になります。
和歌というだけに、言いやすさの順番になっているのでは?と思う方も多いのではないでしょうか。
春の七草の順番は、基本的には、どう覚えようが、七草があっていれば問題はないのですが、先ほど紹介した和歌が昔からの歌われてきたために、この順番で覚えている方が多いのです。
この七草の和歌には、諸説いろいろあるようで、どれが、正しい説なのかは解明されていないのが現状なのです。
ただ、七草の順番は覚えられますが、なぜこの七草が選ばれたのか?疑問にも感じますよね。
栄養価が高い事と、正月においしいものばかり食べたことで胃腸の疲れをとるためと考えられています。
日本人は昔から縁起を担ぐことを、非常に気にする種族でもありますから、春の七草にも縁起を担いだものが採用されたと考えてもいいでしょう。
芹:競り勝つにつながる縁起物
なずな:いわゆるぺんぺん草のことですが、三角形の葉で「なでて汚れを払う」といういわれがあります。
御形(ごぎょう・おぎょう):「仏体」をあらわす縁起物
はこべら:繁栄がはびこるという縁起物
仏の座:名前の通り仏さまが座っている縁起物
すずな:神様を御呼びするときに鳴らす鈴としての縁起物
すずしろ:根が白いので、汚れのない純白さという縁起物
栄養価+ゲン担ぎを用いたものが、春の七草なのです。
春の七草のうち、万葉集に出てくるのは「あの七草」だけだった!
春の 七草 万葉集
春の七草というと、日本に昔から自生植物と思われがちですが、意外と日本で自生している種類は七草では少ないと考えられています。
そのほとんどが、中国や朝鮮半島から入ってきたものと考えられ、七草の中では、平安の時代から、日本古来の葉物としては、芹だけなのです。
その芹の歌を詠んだものが万葉集に掲載されています。
あかねさす 昼は田賜びて ぬまばたの 夜のいとまに 摘めるせり これ
(昼間は役所の仕事で、大変忙しかったので、夜に暇を見つけて、やっと芹をつんできたのですよ。これは)
万葉集の歌には、返しの歌が詠われています。
ますらをと 思えるものを 太刀佩(は)きて 可爾波(かには)の 田居に芹ぞ摘みける
(あなた様は、大変お偉い方だと思っていたのですが、立派な刀を腰に差したまま、カニのように地べたを這いつくばって、芹を摘んでくださったのですね。)
まあ、こんなやり取りをしているのです。
万葉集には、春の七草の草はこの芹以外は出ていないようですから、平安の時代の芹はお役人でも摘むほど栄養価の高い食べ物だった、という事が推測できますね。
芹を摘んできて、女の人にあげるというのは、“これで一緒にご飯を食べましょう”というお誘いの意味なのでしょうか?
それとも、“この芹で栄養のあるものを食べて元気に過ごしてください”という意味なのでしょうか?
芹一つでこれだけ想像が膨らむとは思いもよりませんでしたが、春の七草の芹は栄養価が高いのと、お役人が摘むほど高価な代物だったのかもしれませんね。
まとめ
春の七草の和歌を使って順番を覚える事と、万葉集に出てくる春の七草を紹介してきました。
和歌の順番通りに覚える必要性はないのですが、耳に慣れ親しんできたことで、和歌通りに春の七草を順番に覚えるのがいいでしょうね。
万葉集では、芹以外はどうやら出てこないようなので、他の6種類はいわゆる外来種という事になるのでしょうね。
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